2022年11月2日 X-Summit TOKYO 2022 で新たなカメラが発表された。
FUJIFILM X-T5
全モデルのX-T4の発売から約2年半が経過し、ついに後継機にバトンタッチすることとなった。
今回は、FUJIFILM X-T5の概要と進化のポイント、X-T4からの変更点を簡単にまとめていきたいと思う。
X-T4と比較しながら取り上げていこうと思うので、X-T5購入の参考にしてもらえると嬉しい。
X-T5を一言で表すなら
ダウンサイジング X-H2
というところだろう。
フジフィルムX-T5とは
X-H2に続き40Mセンサーを搭載し、2022年11月25日に発売された。
「Photography First」をコンセプトに写真を撮る楽しさを追求。
前モデルのX-T4と比較すると軽量&コンパクトなボディとなっている。
40Mイメージセンサー搭載
X-T5はX-H2と同じ40MPのX-TRANS CMOS 5HRが搭載され、プロセッサーもX-Processor 5となった。
4020万画素センサーを搭載するのは、X-H2に続き2機種目となる。
X-T5もAPS-Cとして最高クラスの解像度を手に入れたわけだ。
X-T4が2610万画素でだったので、比較すると約1.5倍の解像度になる。
40MPセンサーとX-Processor5の搭載により、シャッター速度も最速で1/180,000まで拡張され、最大で1億6000万画素の画像を生成するピクセルマルチショットも対応した。
常用ISO感度の範囲拡大
40MPセンサーの採用により常用ISO感度の範囲も拡大された。
X-T5 | X-T4 | |
---|---|---|
静止画 | 125〜12800 | 160〜12800 |
静止画 拡張モード | 64/80/100/25600/51200 | 80/100/125/25600/51200 |
動画 | 125〜12800 | 160〜12800 |
動画 拡張モード | 25600 |
X-T5では動画もスチルも常用感度が ISO125〜12800に拡大されている
3軸チルトモニター
X-T5はバリアングルモニターではなく、3軸チルト式モニターを採用した。
今回のモデルチェンジで一番の変更点と言っても良いだろう。
3軸チルトモニターを心待ちにしていたユーザーも多いように思う。
さらにモニターの解像度もX-T4やX-H2と比較して良くなっている。
X-T5 | X-T4/X-H2/X-H2S |
---|---|
3.0型3方向チルト式タッチパネルTFTカラー | 3.0型バリアングル式タッチパネルTFTカラー |
約184万ドット | 約162万ドット |
GFXシリーズのモニター(約236万ドット)ほどではないが、XシリーズとしてはフラッグシップモデルもX-H2/X-H2Sよりも高精細なモニターを装備してきたのは驚きだ。
ファインダーについては、約369万ドットに留まり、X-T4と同じとなる。
X-H2やX-H2Sに搭載される約576万ドットのファインダーはX-T5には搭載されなかった。
ただファインダー倍率については、0.8倍となり 僅かではあるがX-T4よりアップデートされている。(X-T4は0.75倍)
AF性能の改善/被写体認識
AFの性能や機能については、X-H2の性能をそのまま落とし込んできた。
被写体検出AFはもちろん搭載しており、人物の顔や瞳、更に動物・鳥・車・バイク&自転車・飛行機・電車をAIで検出することが可能、狙った被写体にピントを合わせたまま追尾までしてくれる。
AFアルゴリズムについても改善されており AF-Sの合焦性能向上のほか、X-H2にも採用されているAFの予測アルゴリズムも採用。
AF-Cについても安定したフォーカシングが期待できる。
強化された手ブレ補正
ボディ内手ブレ補正については、X-T4を上回る性能を搭載してきた。
X-T5 | X-T4 | X-H2/X-H2S |
---|---|---|
最大7.0段 | 最大6.5段 | 最大7.0段 |
X-T5は X-H2やX-H2Sと比較するとボディが小さいため、手ブレ補正についてはX-T4と同等と思われたが、ボディ内手ブレ補正 最大7.0段とX-Hシリーズと同性能となった。
仕様表を見ると「ピッチ/ヨー方向」と記載があるため、ロールやチルト方向については若干性能が異なると見て良いだろう。
いずれにしてもX-T4でも十分と感じていた手ブレ補正がさらに強化されたのは嬉しい。
一切妥協のない動画性能
ここまでの説明を見ていると、X-T5は写真に特化したカメラになってしまったのかと思われてしまいそうだが、動画性能についてもしっかりアップデートされている。
スチルと動画の切り替えスイッチは継続採用され、シームレスな撮影体験が得られる。
さらには 6.2K/30P 4:2:20 10bit をカメラ内部に記録可能、F-Lof2 の搭載、DHMI経由で動画RAWデータの出力が可能など、必要十分以上の性能と機能を有している。
8K動画の撮影ができない以外は、X-H2に匹敵する内容となる。
動画記録時間の30分制限も無くなっているようなので、長回しを行うユーザーも選びやすくなった。
軽量&コンパクトボディ
ここまで性能を高め、新しい機能も搭載してきたということで、ボディサイズも大きくなったのかと思いきや、なんとボディサイズは小さくなり、重量も軽くなっているというのだから驚きだ。
X-T5 | X-T4 | X-H2/X-H2S | |
---|---|---|---|
幅 | 129.5mm | 134.6mm | 136.3mm |
高さ | 91mm | 92.8mm | 92.9mm |
奥行き | 63.8mm | 63.8mm | 84.6mm |
奥行き(最薄部) | 37.9mm | 37.9mm | 42.8mm |
重量 | 557g | 607g | 660g |
一回りと言うほどではないが、新型が出るたびに大型化してきたX-Tシリーズが性能をアップさせながらも小型化してきたのは嬉しいニュースだ。
重量もX-T4と比べると50g軽量化。
グリップの形状については、薄型のままとなるが、細かな改善で握りやすさはアップしているという。
このあたりは、実際に使ってみてレビューをしていきたい。
【まとめ】フジフィルムX-T5発表
X-T3をベースに、X-H2と同等の性能を詰め込み、小型化した夢のようなカメラ。
X-SUMMITのなかでは「Photography First」という言葉も出てきたが、決して動画の要素を切り落としたわけではない。
動画も撮るけど、メインはあくまで写真。
写真を撮る楽しさを追求した結果のFUJIFILMの答えが今回のX-T5と言えるのだろう。
「Photography First」は写真に特化したカメラという意味ではなく、写真を撮る楽しさを追求したカメラなのだと思う。
バリアングルモニターでなくなったことを残念に思っているユーザーもいると思うが、自撮りをしないユーザーにとっては写真も動画も3軸チルトが最適解だろう。
先行して発売されたX-H2やX-H2Sという存在があるからこそ、今回のX-T5が誕生したのだと思う。
X-Hシリーズとの棲み分けも行うことができて、X-Tシリーズの立ち位置も明確になった。
そうなると 今後のX-Sシリーズの登場も待ち遠しくなるが、その話はまたいつか。